【ロミオの青い空 10~12話】を見て思う事は‥‥

 ミラノで煙突掃除婦として働き始めたロミオ。

 仕事の内容はもちろん、雇う家族にすら恵まれない彼を支えるべき存在が登場するのがこの場面。そう、薄幸の美少女こと【アンジェレッタ】である。

 病床に伏せる彼女は、心臓病を患っている。その設定は後々のロミオの進む道に影響を与えるわけではないけれど、彼女と交わす手紙の下りが【識字】‥‥ひいては【教育】へとつながって行くのは面白い。

 恵まれない環境でも、何かを学ぼうとする姿勢があればその道に進んでいけるという事を象徴するシーンである。カスのアンゼルモとはえらい違いだ。


 そのアンゼルモだが、今回身から出た錆でオオカミ団からフルボッコに会い、吊るし上げにあう。その事でもロミオを逆恨みする彼。

 とことん救いようのない人間だが、彼こそがこの作品の中で色濃く【現実性】を放っている様に見えてくる。


 ある意味で【良識溢れる人間】が主役サイドに回るこの作品群で(そりゃ歓善懲悪だから当然だけど)、彼や後に出てくるマウリッツォなんかは非常に人間臭い。悪い意味で。

 しかし、そんなリアリティがこの作品の見えない人気でもあるんじゃないだろうか。つまるところ、彼らの存在のおかげでロミオたちの輝きが一層煌めいて映っているのだ。


 そんなこんなでロミオは追い込まれ、ロッシ親方の家から脱走。

 行く当てを無くした彼が、一つの大きな局面に追い込まれていく様子が克明に描かれている。


 ともあれ、【煙突掃除婦】という偏見が大きな時代であるということ。

 そしてその偏見を持たぬ人の素晴らしさ。


 それらが美しく見える、この作品。人間ならだれしもがあるであろう先入観だ。それはもちろん僕もある。あなたもあるだろう。

 しかし、それを持たぬからこそ素晴らしいのだよ、というメッセージが投げかけられている気がするのだ。

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